(ア)現状と課題
我が国では,高等教育段階における,公的な給付型支援として,大学
等の授業料の減免や,機構の無利子奨学金の一部に対する返還免除制度
(大学院生に対する業績優秀者免除制度)が導入されている。
その一方で,給付型奨学金は財源等の問題から現在導入されていないが,国際的に見れば,
先進諸国ではほとんどの国で給付型奨学金制度が
実施されている
また,高等教育段階への進学率には様々な要因が相互に関連しつつ影響
を及ぼしているが,我が国においては現に,4年制大学への進学率と家庭
の経済的状況に一定の相関が見られる
特に経済的・社会的に厳しい環境にある者の高等学校卒業後の進路をみ
ると,一般に比べ進学率が著しく低いことなどの現状に鑑みれば,家庭の
経済的状況が進路選択に大きな影響を与えているものと考えられる
(イ)取組の方向性
保護者の経済的格差が,子の教育格差として次の世代に引き継がれる
ことのないよう,高等教育の漸進的無償化の理念の下,給付型支援を充
実していくことは,我が国の高等教育における重要な課題である。
そういった中で,給付型支援の充実は,前述のより柔軟な所得連動返
還型奨学金制度の導入と合わせて,学生等への経済的支援の方策におい
て,重要な位置を占めるものである。
ⅰ)授業料減免について
給付型奨学金が導入されていない現状においては,授業料減免は,
給付的な支援の側面を有するものとして,重要な位置を占めるもので
あり,授業料減免については,引き続き,充実を図っていく必要がある。
また,高等専修学校の生徒に対しては,授業料に対する国からの
支援がなされている一方で,専門学校の生徒は,現在,国からの支援
の対象とされていない。専門学校の生徒に対する授業料減免制度の導入に向け,別途,検討が行われているが,支援の速やかな実現が求められている。
なお,大学の授業料減免制度については,私立大学においては,授
業料減免の原資が経常費補助金の内数であり,限られた財源の中では
授業料減免とその他の事業がトレードオフの関係に立たされること,
大学によって学生が受けられる経済的支援に差があること,公立大学
については地方公共団体あるいは公立大学法人の裁量により実施されていることといった,設置主体による差が存在することに鑑みれば,
授業料減免制度も含めた給付的な支援策全体の制度設計について整理
し直すことも,給付的な支援の充実の検討と合わせて,将来的な課題
である。
ⅱ)給付型奨学金について
前述の通り,我が国においては,公的奨学金制度における給付型奨学金が導入されていないが,今後,高等教育の漸進的無償化を進めていくに当たっては,給付型奨学金の果たすべき役割は大きい。
現状においては,前述のより柔軟な所得連動返還型奨学金の制度設計を着実に行う必要があるが,それとともに,将来的には,給付型奨
学金の創設に向けての検討も進めていくべきである。
その際の論点としては,大きくは,
①給付目的と受給のタイミング
の関係,
②制度のターゲットと受給基準,
③給付すべき内容,
④実施
の方式などの検討が必要となるが,それ以外にも,どういった層に対
して支援を行うべきか,優先順位を明確にしていくとともに,育英的
観点と奨学的観点をどのように加味していくのか,あるいは,現在,
大学院生のみに存在する返還免除制度について,その選考時期や対象,
範囲をどのように設定すべきか,といった他の給付的な支援との関係
も合わせて検討を行う必要がある。
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