2015年3月5日木曜日

第3章 各制度の改善の方向性等

1.中間まとめに対するヒアリングの概要
本検討会では,中間まとめの取りまとめの後に,一般社団法人国立大学協 会,一般社団法人公立大学協会,日本私立大学団体連合会,日本私立短期大 学協会,独立行政法人国立高等専門学校機構,全国専修学校各種学校総連合会,日本弁護士連合会,及び機構の計8団体から,ヒアリングを行った。

ヒアリングにおいては様々な御意見を頂いたが,多くの団体から指摘が あった事柄としては,以下のような点が挙げられる。 貸与型支援に関する事柄としては,
①在学採用,予約採用ともに,無利子 奨学金を更に拡充すべき,
②現行の「所得連動返還型無利子奨学金制度」を より柔軟な返還が可能な形にすべき,といった点である。 また,給付型支援に関する事柄として,
③給付型奨学金を導入すべきといった点,また,その他にも,奨学金制度について,早期から,情報提供や指 導等が必要である,といった点に多くの意見を頂いたところである。

2.各制度の改善方策

本項においては,各制度の改善方策について示すが,その基本的な認識 として,改善を進めるに際し,学生等への経済的支援は,学校種の別,設 置者の別にかかわらず,多様な方法の下できめ細やかに行われることが重 要であるという点について,まずは記しておきたい。 以下,貸与型の支援と,給付型の支援及びその他の事柄に分けて示すこ ととする。

(1)貸与型支援の在り方について
(ア)現状と課題 この点については,近年,機構の貸与型奨学金の事業規模を急速に拡 大させた結果,貸与基準を満たすにもかかわらず貸与を受けられない学 生等の存在は,ほぼ解消されつつある12が,依然として以下のような課 題が残されている。
 
 事業費の大幅な拡充や,高等教育段階への進学率の上昇等もあいま って,奨学金の貸与対象として,真に必要な学生等に貸与できている のか十分な検証が必要。

必要な学資を全て貸与型奨学金によりまかなう場合,専攻分野等に よっては多額の借入れとなり,返還の負担が極めて重くなることにつ いても留意が必要。とりわけ,有利子奨学金については,元本だけで なく利子も返還する必要があるが,貸与を受ける学生等が,このこと を十分に理解していないなど,学生等に対する奨学金制度のさらなる 周知徹底が必要な例も見られる。

また,最近の経済状況の好転を受けて,現下の就職率(就職希望者に対 する就職者の割合)については,改善の傾向を示しているものの,その一 方で,我が国における雇用慣行,産業構造・労働市場の変化に伴う,非正 規雇用の増加等もあいまって,真に奨学金の返還が困難な経済的状況にあ る者からの回収について,例えば,多額の延滞金が返還の意欲を削ぐこ とになっているとして,延滞金の負担の軽減等,より柔軟な返還への要望 が寄せられるケースが増えている。

この点,平成24年度から導入された現行の「所得連動返還型無利子奨 学金制度」は,
①対象となる奨学金の区分が無利子奨学金のみに限定され ていること,
②対象となる者は貸与時の保護者の年収(世帯年収)が30 0万円以下である者に限られること,
③本人の卒業後の年収が300万円 を下回る場合にのみ返還期限を猶予されるものであること,
④本人の卒業 後の年収が300万円を上回った場合は,通常の返還ルールが適用されることといった形で限定的な範囲で奨学金の返還が本人の所得に連動する 制度である。

(イ)取組の方向性 現在,我が国における奨学金制度は,貸与人員・事業規模で見た場合は, 機構の貸与型奨学金が中心であるが,このような貸与型の支援については, 以下のような点について,今後,改善を進めていくべきである。
ⅰ)無利子奨学金について 意欲と能力のある学生等が経済的な事情により進学を断念すること のないよう,教育を受ける機会を保障するという奨学金の本旨に立ち 返れば,機構の貸与型奨学金は無利子奨学金が根幹となるべきもので あって,有利子奨学金はその補完的な役割を担うべきものである14。 近年,奨学金の需要に対応するため有利子奨学金の拡大に頼ってき た実態があるが(有利子奨学金の事業規模は,平成11年度以降,急 速に拡大している。),原則に立ち戻り,無利子奨学金を基本とする姿 を目指すべきである。本取りまとめにおいても,改めて,この点は指摘をしておきたい。

同時に,大学等における在籍者の多様化や,奨学金の貸与対象層の 拡大等に伴い,真に支援の必要な学生等や,優先的に支援すべき層に ついての不断の見直しや貸与基準の検証が求められる
この点については,平成25年12月に総務省の政策評価・独立行 政法人評価委員会から示された「独立行政法人の主要な事務及び事業 の改廃に関する勧告の方向性」においても,「最新のデータをもとに, 奨学金の対象となる世帯所得の根拠を明確にしつつ,奨学金の貸与基 準について見直すものとする。」との指摘を受けていることにも,留意 する必要がある。

ⅱ)より柔軟な所得連動返還型奨学金について
 機構の貸与型奨学金についても,「借りたものは返す」ことが原則で あることは言うまでもなく,返還金は,将来の奨学金の原資となるも のであることに鑑み,返還能力のある者からは引き続きしっかりと返還をしてもらうことが必要である。
他方,奨学金制度は教育の機会の保障を目的とするものであり,高 等教育機関へ安心して進学できる環境を整備していくためには,貸与 型奨学金の卒業後の返還の不安を軽減していくことが重要である。


学生への経済的支援の在り方に 関する検討会 平成26年8月29日

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